7206人が本棚に入れています
本棚に追加
/573ページ
『何で…?』
『あ?…………………気紛れ』
………あー、うん、なんかそんな感じがする。
腕の中で見上げてみると、何故か鋭い闇色の瞳を細めるろうちゃんに、首を傾げたら…
『…ねぇ、地味に痛いんだけど…何でさっきからデコピンなの?』
流石に3度もデコピンされると、おでこが痛くて睨み付けて見た。
…涙がでたのは仕方がない。
『っ……………ハァ』
『あ、なんだろうね。何か地味に傷つくんだけど?ろうちゃん…あぅっ!』
だから痛いから!もぅ!
五回目は流石に嫌だから、ろうちゃんの胸元にぐりぐり額を押し付けてみた。
…………で、不意に気づいてしまった。
ろうちゃんがつけているだろう香水の香りに…
急に大人しくなった俺を不思議に思ったらしい。
『…………どうした…?』
『……!…』
急に吐き気が込み上げてきてろうちゃんから暴れるように離れ…
口元を押さえて蹲った。
…脳裏に蘇るのは、俺を凌辱しようとした來臥。
來臥と同じ匂い…だから?
だから、ろうちゃんに触られても平気だったんだろうか…?
…何で
何で嫌いになれないの?
最初のコメントを投稿しよう!