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『……………風邪ひくぞ』
いつもの小さな公園のブランコに座り、キィキィ…ゆっくり漕いでいたら…
後ろから声をかけられた。
振り向かなくても、最近よく聞く声だから思わず苦笑すると…
後頭部を小突かれた。
『地味に痛い…
ろうちゃんって、S?あぅ』
『…………喰われてぇのか』
『ごめんなさい。彼女さんに恨まれますから遠慮します』
『……………もう別れた』
思わず…目の前にすわりこむろうちゃんの頭を包むと、自分の胸に抱き締めた。
…びっくりして固まってるけど、一番びっくりしているのは俺だったりする。
ろうちゃんの彼女は…
來臥のセフレだった。
『…ごめんね、ろうちゃん』
『……………お前が謝る必要はない。
だから…………』
泣くな。
いつの間にか反対にろうちゃんに抱き締められていた。
…優しいろうちゃん
俺、知っていたよ?
いつの間にか香水変えていた事も…
來臥に乗り換えた彼女を一言も責めなかった事も…
…あきちゃんが心配だけど、今は会いたくなかった…
家にもいたくなくて…
気づいたら、
ろうちゃんが俺の支えになっていた。
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