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気がつくと、暖かい温もりに包まれていた。
何も考えられず、虚ろな瞳でぼんやりと眺めていたらしい。
目の前に闇色の瞳が俺を心配そうに見つめていても、
何かを喋っていても、
…俺には何も聞こえないし指一本動かす気力もなかった。
……いつの間にか意識を失っていたらしい。
気づいたら、よく見慣れた部屋にいた。
俺が目を開けた事に気づいたのか、誰かの気配を感じた。
『あ、起きたか?ここが何処かわかるか?俺の顔がわかるか?』
そこにいたのは、時々ろうちゃんの部屋に遊びに来ていた人で…
『わかるなら指曲げろ』
そういって、俺の手を握った。
ピクリと動いた指に、彼は安心したように吐息をはくと、その手の上にもう片手をのせた。
『悪かったな…色々調べていたから遅くなっちまったぜ。勝手に上がらせて貰ったぜ?
あ、あっちに神楽とロウがいるが…お前もいくか?』
その人は、げんちゃんと言って…情報屋をしていた。
不安そうな俺の瞳に気づいたようで、軽々と俺を抱き上げて膝の上に座らせると…抱き締めてくれた。
『安心しろ。俺らはお前が必要だ。信じろ…な?』
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