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久しぶりに溜まり場に顔を出したら、珍しく誰もいなく…
不思議に思いながらも奥の部屋をノックしようとすると中から慌てたように開かれた。
來臥は俺を見て驚いたみたいで、おずおずと俺の頬に手を触れた。
久しぶりに触れられたその手が、思いの外温かくて…
嫌がらない俺に、ゆっくり手を背中に回して抱き締めてきた。
『…っ!……ラン!』
俺を抱き締めて呼ぶ來臥の声が、あまりに悲痛に聞こえて…
…されるがままだった。
どうしたんだろうか?何かあったんだろうか…
『……行かないでくれっ!俺の…側から…何処にも!』
…どうして?
『…う…して?……だって…來臥は…俺が必要…ないでしょう…?來臥の周りには…沢山…いるし…?
俺…もういら…ないんで…しょう…?
恋人じゃ…セフレでもない…俺………來臥の…何?
あの少年の方が…』
『違!……それは違う!』
俺の身体を少し離して、顔を見る來臥の瞳は悲しみに揺れていた。
…本当に俺が離れたら、寂しいの?
俺は…
必要…?
続けて何かを言おうとした來臥は、手に持っていた携帯の着信音に遮られた。
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