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昼頃、父さんは迎えに来た秘書の男性に半ば抱えられて仕事にいった。
『そんなに坊っちゃんといたいなら何でこの企画を受けたんですか。馬鹿ですか。馬鹿だから同じ過ちを何度もするんですよ。早く仕事を終わらせて下さい。尻拭いは誰がやると思ってるんですか。あ、蘭珠様!いつも可愛らしい!翁蘭様と血が繋がっているというのにこの穢れのなさ!では、お借りします。お身体大事にして下さいね』
『紫音の鬼ー!』
…的な騒動に唖然としたのは、その場にいたかーくんとかみちゃんも同じだったらしい。
『蘭ちゃん、何食べたい?』
かみちゃんは、食欲ないと言った俺の言葉を無視して…
結局、かーくんと献立を決めて買い物に行った。
お風呂にはいり、身体が赤くなるまで擦っても擦っても…
消えない手の感触に涙が溢れた。
彼は何故自分にあんな事をするのだろうか…
そう考えて…
彼が言った言葉をぼんやりと思い出していた。
…彼と來臥は
そういう関係なんだ…と。
頭からシャワーを被りながら、嗚咽を漏らさないよう唇を噛み締めて泣いた。
心が悲鳴をあげていた。
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