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歩道橋の下で雨にうたれる、まるでマネキンのような蘭。
頭から血を流して、足と腕は本来曲がらない方向に向いていた。
衣服は破れ、明らかに暴行の跡が全身にあり…
頬は腫れ、唇から血を流した蘭。
『………蘭?』
虚ろな瞳に光りはなく、握った手から見えるのは…
………ライがあげたネックレスだった。
…何で?
どうしてだよ?
こんなんなってもまだ、アイツを求めていたのか?
『…………ら…ん…』
深夜の雨に、誰もいないひっそりとした歩道橋で…
たった1人で…
足を滑らせたのか、
自分から落ちたのか…
…それとも、誰かに突き落とされたのか、
目覚めた蘭からは聞く事が出来なかった。
なぜなら…
一週間生死をさ迷い目覚めた蘭は、
まるで人形のようだったから…
医者からはずっとこのままかも知れないと言われた。
その日は、
心の闇とは裏腹に、
よく晴れた闇に星が輝く…
蘭が大好きな闇夜だった。
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