記憶の狭間…?

10/38

7206人が本棚に入れています
本棚に追加
/573ページ
◆side,NANAMI◆ 「…………今の話は… 本当…ですか…?」 小さく囁くように吐き出された声に、思わず目を見開いた。 室内にいる誰もが、息を飲み戸口に視線を送る。 そこにいたのは… 黒髪を靡かせた大和撫子のような綺麗な青年だった。 …何で、この人が…? 愛結も顕彰も驚いて呆然と見ている。浩ノ宮先輩達は一言もこの人の話をした事がなかったのに… …そう、 美作 葵(ミマサカ アオイ)先輩。 よく考えたらわかる事だ。彼は、生徒会副会長であり、会長と同じチーム、"clover"副総長だ。 市ヶ谷先輩達と同じチームなんだから、当然関わりがあったはずだ。 …なのに、何故彼等から一度も副会長の名前がでない? 副会長は冷たい鋭い視線を皆にむけ、最後に会長に向けた。 その瞳から顔を背けた会長を一瞥し、ゆっくり蘭に近づいていくと… 各務先輩が何も言わずに身体をずらして蘭を見せた。 背中を向けているから副会長の表情は見えない。 「…………ラン…?」 その声は小さく、震えていた。 ,
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7206人が本棚に入れています
本棚に追加