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◆side,NANAMI◆
「…………今の話は…
本当…ですか…?」
小さく囁くように吐き出された声に、思わず目を見開いた。
室内にいる誰もが、息を飲み戸口に視線を送る。
そこにいたのは…
黒髪を靡かせた大和撫子のような綺麗な青年だった。
…何で、この人が…?
愛結も顕彰も驚いて呆然と見ている。浩ノ宮先輩達は一言もこの人の話をした事がなかったのに…
…そう、
美作 葵(ミマサカ アオイ)先輩。
よく考えたらわかる事だ。彼は、生徒会副会長であり、会長と同じチーム、"clover"副総長だ。
市ヶ谷先輩達と同じチームなんだから、当然関わりがあったはずだ。
…なのに、何故彼等から一度も副会長の名前がでない?
副会長は冷たい鋭い視線を皆にむけ、最後に会長に向けた。
その瞳から顔を背けた会長を一瞥し、ゆっくり蘭に近づいていくと…
各務先輩が何も言わずに身体をずらして蘭を見せた。
背中を向けているから副会長の表情は見えない。
「…………ラン…?」
その声は小さく、震えていた。
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