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「………皆…知ってたんですか…?」
副会長は恐る恐る蘭の頬に手を伸ばし、声は震えている。
「…………葵。意識の戻った蘭は僕達の事を覚えていなかったんだ」
小さく吐息をはくと、各務先輩が蘭を見ながらポツリ…ポツリ…話し出した。
「蘭は今みたいにまるで人形のように何も反応しなくて…
身体の怪我も心も…
半年かかって少しずつ回復してきたからさ…
神楽と蘭のお父さんと相談して、うちに転入してきたんだ。僕の事も知らないから影から見守るようにさ。
記憶をなくした経緯は、狼帝と源も蘭を探してくれたから…
旺弘達は最近…
食堂でライとハヤが蘭に絡んだの覚えてるでしょ?旺弘が助けたの。
あの後に問い詰められて…
あの時はフラッシュバックした蘭を旺弘が助け、二回目は泉が助けたから…
誰にも言うつもりはなかったんだけど…
…ごめんね?葵が自分を責めているの知っておきながら、黙ってて…」
蘭の手をとり、その手を副会長に差し出している。
副会長は、ゆっくりその手をとるとしゃがんで蘭の手を自分の頬につけ…
小さく震えていた。
「……ン…ラン……んで…」
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