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「……蘭は…どうなるの?」
小さな震える声に答える者はいなく…
疑問を口に出した愛結は、大きな瞳を悲しみに染めて…
「…………ねぇ、七海…顕彰…
また前の蘭に…戻るよね…?
だって…昨日だって戻ったんだし…っ!
ね?
……………戻る…よね…
ななみー…」
悲痛な叫びは涙声に変わり…
室内に愛結の嗚咽が響いても、声をかける事も出来なかった。
…彼らもまた
内から沸き上がる悲しみや苦しみを、
眉を潜めて愛結から顔を背ける事で、
自分の心の叫びに気づかないふりをするしかなかった。
そうしないと、彼らもまた…
愛結のように泣き崩れてしまうから…
爪が食い込む程、力をこめて拳を握るしかなかった…
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