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◆side,RAIGA◆
………何で
………どうして
こんな事望んでいなかった。
ただ、あいつの傍にいたかったんだ…
穢れのない綺麗な藍色の瞳を、俺だけに染めたかったんだ。
俺より小さな身体は力をいれて抱き締めるだけでも折れそうで…
キスをすると応えてくれる仕草が、堪らなく愛しかった。
寂しがりやな甘えんぼうは、
俺以外にも心の氷を溶かしてしまって…
誰かがあいつを抱き締める度に、薄汚れた感情が這い出てくる。
…そんな醜い感情を悟られたくなくて、冷たく当たった。
あいつは人の感情に敏感で傷つきやすい…
あいつが笑う度に…
あいつが甘える度に…
その穢れのない羽根をもぎ取り、堕としてしまいそうだった。
俺だけに甘えてほしい。俺だけに笑いかけてほしい。俺だけに…
…逢う度にその身体に俺を刻み付けたくて、壊してしまう程あいつを抱きたくて…
酷い時には逢いたくて幻覚をみる程だった。
…こんな感情
今まで味わった事がない。まるで、あいつに敗北したような…
…だから離れた。
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