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◆side,AKIHIRO◆
………頭が真っ白になった。
だって…
ついさっきまで俺の腕の中にいたのに…
無くした筈の記憶を
ライを
思い出して、
辛い筈なのに、それでも俺の心配をしていた。
『あきちゃん』って…
笑ってたのに…
平気そうに振る舞って、それでも宝生達がいるから大丈夫だと思った…
それなのに…
『季岾が蘭を…』
脳裏に響く宝生と渡瀬の声。
今なんて言った?
蘭が倒れた…?
昨夜みたく…?
脳裏に浮かぶ蘭の笑顔。
甘えん坊で寂しがり屋で、人の愛情に餓えていた。
突然蘭がいなくなった時、
双子はわからないと、首をふるだけだった。
家から抜け出した蘭が、足を滑らせて歩道橋から転落して記憶を無くした。
だから、俺達にも言わなかったといった。
ライを思い出さない方がいいと思ったからって…
『人形のように…』
………誰が?
『何で蘭ばかり…!』
………蘭を壊したのは
「テメーのせいか」
………許さねぇ
,
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