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「紫音」
「えぇ、わかってます。とりあえず簀巻きでいいですか」
一応聞いてはいるようだが疑問文ではない気が…
紫音と呼ばれた男性は蘭の寝ている隣のベットから布団を剥がすと、器用に季岾 隼をぐるぐる巻きにして、部屋の隅に蹴飛ばした。
ぐあおおお!…という奇声の後にガゴン!と頭を壁の…しかも、角にぶつけたらしく静かになった。
………生きてるか?まぁ、いいか、どっちでも。
理事長が舌打ちして動かない簀巻きを嫌悪感バリバリで見ている。
鷺ノ宮学園の生徒会を始め役員には暗黙の了解があり…
理事長を怒らせたら命はない…と、
今、
この瞬間…
その裏の掟をひしひしと感じている最中だ。
…………つか、俺も同罪か?
「こいつは昔から人の感情に敏感でな。お前らもわかるだろうが、あの汚ねぇ世界は耐えられなかった。
だから隔離した。
それなのに…
………てめー、俺の大事な息子に随分嘗めたマネしてくれたな…あぁ゛?」
「ぐっ!」
ベットに座っていた筈の理事長が、ライの胸ぐらを掴み床に叩きつけた。
その瞳は、蘭と同じ藍色だった。
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