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◆side,―― ◆
「…紫音。車の用意だ」
「既に整ってますよ。私が蘭珠様を抱いていきます」
「はぁ?馬鹿いうな、誰が触らせるかよ。俺の息子だから俺が運ぶ。
お前は理事長代理。
あとは勝手に処理しろ」
勝手な言い種にも慣れているのか、紫音は肩を竦めるだけで蘭の手を離そうとはしない。
傷ついた瞳を蘭に向けるライ。
神楽と各務、源達の悲しみに染まった瞳。
自分の愚かさに気づいた舞。
事の展開についていけず困惑する七海。
…何故?
どうして?
後悔ばかりが脳裏を過っても…
悪夢が消える訳でもない。
どうしたらいいかなんて、
誰にも解らなかった。
ただ…
これ以上誰も傷つかないでほしい…
何処で歯車が狂ったかなんて、誰にもわからないから…
ただ今は…
蘭珠が目覚めてくれるのを祈るしかなかった。
狼帝は、紫音が掴んでいない方の蘭珠の手を握りながら…
何もかも、
目覚めた時に消えていたらどんなにいいか。
「……ちゃ」
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