宝石箱…?

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………どうやら俺は、感情を手放したらしく… 皆に心配をかけてしまった。 まだすっきりしない感覚の中、かーくんとかみちゃんが状況を説明してくれた。 …その間、俺の手をずっと握りしめる暖かい温もり。 一言も喋らず、ただぎゅっと… この温もりは知っている。 …2人が話している間、誰も口を聞かない。 それは、俺を気づかってだろう… 心配そうに俺を見る皆の瞳から逸らすように、 目を閉じた。 すると訪れる沈黙に、誰も口をきかない。 ひしひしと感じる闇は、 未だに俺の足を離さない。 …駄目だ。 皆が心配する。 そう思うのに、声は喉を伝っていかない。 言わなくちゃ… じゃないと、あきちゃんが… 舞ちゃんが… …來臥が なのに、何で声が出ないの? もう大丈夫だからって… …何で? 「…蘭」 俺を呼ぶ優しい声。 俺の手を包みこむように、握り直した。 「…………今は何も考えるな」 …何も 「…………わかってるから」 ……その言葉に、意識が闇に呑まれた。 ,
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