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部屋に近づくにつれ、重くなる足取り。
それと、彼女の言った言葉。
……あの時、会長の手には携帯が握られていた。
彼女は会長に呼び出されたと言っていた。
…なら、こんなとこまでセフレであろう彼女を態々呼び出したのか?
そう思うと会長に対する怒りがフツフツと沸き上がる。
…目蓋に焼き付くのは、
人形のような蘭
きちんと鍵が締まっていなかった扉から漏れでる会話に…
思わず手が止まった。
『舞が蘭を殺そうとした?』
え?………誰が…蘭を…?
『何で…?……お前が…気にしてたから……だろ…。お前も…ライも一番に気にかけるのは、蘭だから…
だから蘭は…
自分の事より…お前を…ライを…舞を…くそ!何でだよ!何で…
…蘭が』
室内からは悲痛な叫びが聞こえ、思わず拳を握りしめた。
ギリリ…と奥歯を噛みしめた時、隣にいた彼女の手が震えている事に気づいた。
顔面蒼白になって、ふらりと揺れた身体は…
戸口にもたれ、ズルズルと落ちていく。
その音に、室内の人達の瞳が一斉にむいた。
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