宝石箱…?

11/32

7205人が本棚に入れています
本棚に追加
/573ページ
ろうちゃんは何も言わずに、トントン叩いていた手で俺の頭を撫でている。 白から闇に染めた髪を、優しく… …魘されていたんだろうけど、何も聞かない。 それは、 俺が何も言わなくても分かっているから。 だからなのかな… 何も考えないで甘えられるのは…。 でも… でも甘えていいのかな… だって、この手は… 「………余計な事…考えるな」 ……… 「俺が好きでやってる…蘭は気にするな」 「痛いんだけど…」 …あれだよね。 ろうちゃんって、絶対Sっ毛あるよね? 「……人による」 えー…苛めはんたーい… 「愛情表現だ。ありがたれ」 …ろうちゃん、いつの間に俺様に!? 「気にするな」 …何かキャラ変わったよねー。一匹狼は何処いったのー? 「…………お前の事になると、無関心でいれん」 ………… ソロリと逞しいろうちゃんの胸から顔をあげたら… 悲しそうに揺れる闇色の瞳が、俺を見ていた。 そのまま見上げていたら何故かため息をつかれて、 額に口付けると、優しく抱き締めるろうちゃん。 「…もう少し寝てろ」 その声と鼓動は、安心できた。
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7205人が本棚に入れています
本棚に追加