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「…蘭」
「ふに?」
学園までいくバスの時間まで、まだ大分あるからって近くの公園にいた。
そこは、あの小さな公園とは違い…
沢山の遊具や噴水まであって…
人も沢山いて…
ベンチに座って、人を眺めていた俺に声をかけたろうちゃんは、
何か言いたそうに瞳を曇らせている。
それは、
多分、ろうちゃんの優しさ。
だけどね?
俺は、それから逃げたら駄目なんだと思う。
ろうちゃんの手を握ると、少し驚いたみたいだけど…
何も言わずに握り返してくれた。
『…これからどうするんだ?』
ろうちゃんの聞きたかった…俺の出したい答え。
よく考えろって、励ましてくれる力強い手。
俺が付いてるからって…
ごめんね、ろうちゃん。
俺が弱いから…
優しいろうちゃんにつけ込んで縛り付けて…
「…俺が勝手にやってる事だ。俺はいいから…
ゆっくり考えろ。
お前が誰を選ぼうと、選ばなくても…
後悔だけはしないように」
「!……ろうちゃ…」
反対の手で俺の頭を優しく胸に抱きこんだ。
ろうちゃんの力強い鼓動が、俺を安心させてくれた。
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