宝石箱…?

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バスに揺られて学園に戻る道すがら、 何気なく外を眺めていた。 …これからどうするか。 脳裏に浮かぶのは、 悲しみに…苦痛に歪む… 來臥。 あきちゃん。 …舞ちゃん それと 「っ!」 不意に込み上げる吐き気に口を抑えて俯いた。 何もかも思い出してしまった俺は… 自分の身体を這う… 手や舌… 俺を殴る痛みや 蔑んだ笑いをも 「!はっ!―――っ!」 「考えるな」 「!」 俺の震える身体をぎゅぅっと抱き締める力強い腕に、無意識にすがり付いた。 安心させるように背中をとんとん叩いて、着ていた上着で他の乗客から隠してくれる。 「蘭が忘れられないなら、その感触を俺のに書き換えてやる。 …だから、 今は記憶に蓋をしろ。俺がここにいるから」 幸い、乗客は前の方に2人しか乗っていない。 一番後ろの俺に覆い被さるように、抱き締めて… 息も 声も 身体の震えも 脳裏に浮かぶ穢れた想いまで… 何もかも奪うような荒々しいキスをされて… 意識を闇に葬った。 ,
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