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◆side,NANAMI◆
「……」
慰安旅行から帰ってきた俺達は、無言で寮のそれぞれの部屋にはいった。
顕彰が部屋を開けて瞳に悲しみが宿ったのをみて…
蘭がまだ帰ってきていない事を知った。
愛結は見るからに落ち込み、無言で自室に入って暫く出て来なくて…
だが、俺にはそれを元気つける勇気も気力もなく…
靴を履いて自室を出て、深い溜め息をついた。
蘭の過去は、
俺達の想像以上で…
蘭に対してどうしたらいいかわからなかった。
記憶を思い出したら…
蘭は変わってしまうのだろうか…
今までのように過ごせるのか?
蘭は…
まだ会長を
……好きなんだろうか。
ずるずる崩れそうな膝に力を込めて一歩足をだした。
蘭に会わないと…
病院からいつ帰ってくるかわからないけど、
寮の玄関でまっていたかった。
お帰りって…
「…あ」
「?」
顔をあげると、戸惑ったような複雑な顔の喜多見がいた。
どうやらコンビニに行っていたらしい。買い物袋を持っているから。
「あのさ……!…い、委員長…」
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