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…………
…あぁ、だからか。
自分に深い溜め息をつくと、眼鏡をポケットの中にいれて歩きだした。
銕先輩が蘭をどんな風に思っているのかは知らない。
でも…
蘭に特別な感情があるのは確かだ。
そして、蘭も…
きっと、記憶を失う前は銕先輩を一番慕っていたんだろう。
会長に浮気されても耐えていたのは、
銕先輩が蘭を支えていたから。
でもな?
記憶がない蘭を一番側で守ってきたのは、俺達なんだ。
俺や愛結、顕彰が蘭に笑顔を取り戻したって、浩ノ宮先輩達も言ってたじゃないか。
今の蘭には、
俺達が側にいる。
蘭には、もう二度と辛い想いをさせたくない。
あんな…
あんな人形のような蘭は、二度と見たくない。
だから、
あんたが蘭を取り戻すっていうなら、俺は絶対渡さない。
蘭は誰にもやらない。
俺が、これからの蘭の記憶を創るんだ。
蘭と一緒に
いつも笑っていられるような…
だから、
返して貰うから。
寮に向かって歩いてくる人物を見て、俺は拳を握った。
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