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「………そんなに俺が嫌いか」
「は?え、あ、いや…」
思わず目を泳がせてしまった俺に、銕先輩は瞳を蘭に向ける。
「…当たり前か。
………四六時中、目を離すな」
………
何を急に…!
いきなりかわった話に先輩を見上げて、思わず息をのんでしまった。
闇色の瞳に浮かぶのは怒り。
冷酷な冷たい怒りだ。
「………多分、また思い出す。…蘭が壊れないように。
寝るときは一緒に寝てやれ。魘されたら強く抱き締めろ。暴れてもいいから、俺が側にいるから大丈夫だと安心感を与えてあげてくれ。」
そういって蘭の部屋の前で立ち止まった。
状況が理解出来ない俺の視線をチラリとみて、チャイムを鳴らすと顕彰が扉を開けて、
銕先輩と蘭を交互に見ている。
勝手に入る先輩は、蘭の部屋にはいりベッドに寝かせた。
顕彰が戸惑っているのがわかるが、答える事も出来ない。
「…淋しがりやで甘えん坊だ。……心を許した相手が側にいないと、また壁を作る……トラウマになってる…絶対離れるな」
そういって、銕先輩は蘭の額にキスをして部屋を出ようとするから…
思わずその腕を掴んでいた。
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