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「なら何で先輩が側にいないんですか。
…好きなんでしょう?蘭の事。
なら、何で蘭を俺達に!」
先輩の瞳に浮かんだ悲しみに気づいた俺は、言葉を飲み込んでしまった。
「…蘭が求めるのは……平穏。…今まで通りの日常……昔の辛い記憶を塗り替えるような幸福感、安心感…
そこには、俺はいない。
俺は今まで通りに接する。それが蘭の為だからだ…
俺の感情が蘭の為にならないなら、俺はそれを封じる。
それまでの事。
蘭を頼む」
スルリと俺の手を抜けて出ていく先輩は、
振り返らなかった。
「…んだよ、それ………自分を犠牲にして蘭を守ったって…
蘭は喜ばねぇぞ」
…………
顕彰の言う通りだ。でも俺には…
離れていても繋がりあう、2人の絆の深さを
見せ付けられた気がした。
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