宝石箱…?

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「………ごめ」 「謝るな」 呼吸が落ち着いた所で、申し訳なくなって謝ったら怒られた。 そのまま頭をなっちゃんの肩にコテン…と凭れて、深い吐息を吐いた。 皆の心配そうな視線を感じるけど、今の俺には… それを笑い飛ばす事も 話を反らす事も ましてや なっちゃん達を気使う余裕さえなくて… ふと、 自分が今まで どんな風に過ごしていたのか… わからなくなった。 …俺、これからも普通に出来るのかな… 全てを知られた上で、 全てを思い出した上で、 今まで通り… 「………ほら」 けんちゃんがミネラルウォーターを差し出してるのが、視界に入った。 なっちゃんから身体を起こして受け取る時、 いつもより不機嫌そうなけんちゃんの瞳と、目があった。 …俺、皆に心配かけてる。 なのに… 声が出ない。 俺は大丈夫だから心配しないでって言いたいのに… 何でだろう… 一人になりたかった。 誰も俺を知らない所に、 逃げたくなった。 そんな事しても無駄だと、解っていても… 込み上げる吐き気は止まらなかった。
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