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後ろの席のけんちゃんの赤い髪を弄りながら、
ゴールが見付からない迷路から抜け出せないでいた。
学校でも寮でも、必ず誰か俺の側にいる。
隣にいなくても、
俺の姿が見える位置には必ず…
今はけんちゃんが側にいてくれるから、心細くはないけど…でも………
けんちゃんの赤い髪を弄りながら、帰ったらゲームしようねとか、今日の晩御飯何にしようかとか…
他愛な話をして、その事から目を反らした。
じゃないと…
今の俺が
保てないから。
自分の中の
黒い部分が顔を出して…
今まで保っていた均衡を崩してしまいそうで…
「………蘭?」
けんちゃんの髪を弄っていた手が止まっていたらしく、訝しげな視線を向けているのに気づいた。
「けんちゃんの髪の毛の間から地肌までよく見えるね…あい、すいません」
握り拳が見えてポケットに入っていた珈琲飴を、けんちゃんの口に投入しました!
あ、眼鏡ね?何か爽やか君が拾ってくれていたみたいで、無事に帰還しましたー!
だからお礼言おうと思ったんだけど、なっちゃんに俺が言ったからいい発言されました。何故に?
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