7206人が本棚に入れています
本棚に追加
/573ページ
◆side,NANAMI◆
『暫く預かる』
愛結とそろそろ図書室に迎えに行こうかと話していると、銕先輩から電話がきた。
暫く切れたままの携帯を眺めていたようで、愛結が不思議そうに見ている。
「銕先輩?」
「…暫く預かると」
「………そっか。最近、僕達にも遠慮してあまり寝てないしね」
「…気づいてたか」
「顕彰もね」
取り戻した記憶は、あまりにも残酷で…
俺達にはそれをどうする事も出来ない。
多分…
誰にも…
「どうしたら蘭は心の底から笑うようになるのかな…」
「…僕達と笑っていたのは、心の底からじゃなかったのかな」
「心の底からかはわからないが、少なくとも愛想笑いではなかった」
「……そうだね。どんな形であれ、蘭に光を注せたとは思う」
蘭が笑ってくれれば…
その為ならなんだってする。
そして、そう思っているのは俺達だけじゃない。
なぁ、蘭。
俺はお前と逢えたのは
必然的だと思っている。
お前が一人で立てるようになるまで支えるから…
だから、
遠慮なんかいらない。
ただ、
お前が
蘭が好きだから。
最初のコメントを投稿しよう!