7206人が本棚に入れています
本棚に追加
………本当は、何となく気づいていた。
何で俺が殴られたのか…
意識を失う前に見た、小柄な少年のような人影…
喉の奥で笑う嘲り…
あの笑い声…
一度記憶の箱の鍵が壊されると、次々と飛び出してくる『ソレ』は、
自分で蓋をしても外れてしまう。
カタカタ音を鳴らして、自分の存在を主張するんだ。
どんなに耳を塞いでも…
きっと、
俺が生きてる限り…
頭の位置をずらして、痛む身体を動かした。
その際に下にしていた。頬がベトベトしたような感触に、床は板じゃないのかな…ぐらいしか考えなかった。
背中で一くくりにされた腕の縄は、ちょっとやそっとじゃとれない事が判明…
身体を起こして室内らしきここの出口を探すのも無理そうだし…
明かりがないし、そもそもよく見えないんだけどね。
…………けんちゃん、心配してるだろうな。
今頃、皆に連絡いってたりして。
「……」
ねぇ、ろうちゃん。
俺って何で生きてるんだろうね。
皆に心配かけて、迷惑かけて…
…疎まれて。
何デ俺ヲ助ケタノ?
,
最初のコメントを投稿しよう!