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七海は顕彰が苛立ちながら空き教室の壁を蹴るのを、黙って見ていた。
「……チッ」
苛立たしそうな舌打ちは、自分自身に対して…
多分、
こうなった責任を人一倍感じているのがわかるから。
…何故、謹慎中の季岾がコンビニにいたのかわからない。
季岾から逃げた蘭の瞳に浮かんだ『恐怖心』から、蘭を守る事が出来なかった。
すぐに追いかけたはずなのに、何処を探してもいなく…
七海達と寮の玄関であった時、彼の手にある眼鏡をみて怒りに任せて壁を殴りつけても…
七海と愛結が一度も顕彰を責めなくても…
蘭を守る事が出来なかった自分が、許せなかった。
「…宝生です。この階はすべてハズレでした。校舎以外はどうですか?」
連絡を入れる七海を横目に、顕彰は唇を噛み締めている。
「季岾は寮長室の隣の応接室に閉じ込めてる。浩ノ宮先輩達や姜先輩達もまだ手がかりを見つけていない。
…顕彰、唇を噛むな。血が出てる。
蘭が見たら自分を責める。
外探そう」
「……あの噂のせいか」
「多分な。岬と連絡を取った。中庭にいくぞ」
歯車は狂ったまま動き出している。
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