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「まさか君があのランだとは思わなかったよ。髪型や眼鏡とかで隠れていたつもりだったの?」
クスクス笑いながら近づいてくる少年は、
俺の前に来ると穢い物でも見るように、目を細めて見下ろしている。
「いい格好だね。まぁ、あの時に比べたら?物足りないけど。
ねぇ?」
「っ!」
髪をわし掴みされて身体が持ち上がった際に、髪の毛が抜けた音がした。
「またライをタラシ込んだの?」
ライヲタラシコンダノ
身体から込み上げるモノを抑えるように口を固く結ぶ俺を見て…
目の前の少年の形のいい眉が歪むと叩きつけるように髪を離した。
衝撃に視界が揺れて、吐き気が込み上げてくる。
俺が何も言わないからか、それとも何も反応しないからか、どうやらそれが少年の気に触ったようだ。
ガツッと足を勢いよく下ろした。痛さに瞳が微かに揺れると、それが面白いのか何度も何度も振り下ろしてくる。
お腹や背中、足だけでは物足りないのか、
制服の上着ポケットから出したソレを、
俺の首筋にあてた。
「今度こそ二度とライに逢えなくしてあげるね」
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