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「!」
口腔内を蠢く男の舌と共に、何かを口の奥に押し込まれて飲み込んでしまった。
ゲホゲホ噎せる俺は男を睨み付けた時、
男の姿が何かと重なった。
それは、
記憶と共に忘れさられていた映像で…
一度開けられた箱から次々と飛び出してきた。
至近距離にある男の顔は、薄暗い室内でも判別できてしまい…
俺の胸元の傷口をなぞるような指の動きに、奥歯を噛み締めた。
脳裏に蘇る映像は、
容易く俺に『感情』というものを突き付けて、
今まで押さえていた『感情』までもが暴れ出てこようとする。
微かに震えだした身体に気づいたのか、男がにんまりと厭らしい笑みを浮かべて顔を近づけた。
「…思い出したぁ?俺がアンタの初めての男だってぇ。
俺アンタ気に入ってたんだよねぇ。あんときより、もっと気持ちよくしてやるからねぇ。」
どこか狂喜染みた恍惚とした瞳で、俺の切り裂かれた服から見える肌を撫でていく。
その感触に、嫌悪感とは別の感情が這い出てきた。
身体の中から込み上げる熱と、ふわふわする感覚に…
脳が警報を鳴らす。
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