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「!……んふ…は!…おい、ロウ!」
薫の首根っこを引っ張るロウに慌ててランから唇を離して引き留めると、
肩越しに振り返った。
「……多分、蘭が飲まされたのは、簡単には抜けない…
お前が責任持って蘭を救え。
…蘭を救えるのは
お前だけだ、來臥。
大事なモノは二度と見失うな」
二度と…
ぎゅっとランを抱き締めると、上着で包み抱き抱えて走り出した。
腕の中のランがトロンとした眼差しを向けて、時折甘い声を漏らす。
俺の胸元に顔を埋めて、鎖骨あたりにチクリと軽い痛みが走った。
赤く鬱血するのをみて、満足そうに舌で鎖骨をなめる。
…ある意味拷問だった。
寮の入り口で、寮長である龍人にあった。
ランの姿を見て安心したように吐息をついたが、次の瞬間、驚愕に目を見開いた。
「おい、これ…」
「説明してる暇はない。葵達に連絡してくれ」
エレベーターに駆け込み、戸が閉まる間際に頼むと…
悲痛な叫びが聞こえた。
…薫は、寮の玄関で邪険にあつかった奴だった。
…俺はいつもランを傷つける事しか出来ないのか。
ラン…
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