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◆side,RAIGA◆
黒く染まった髪を撫で手に取り、髪に口付けた。
あんなに綺麗な白銀の髪を染めてしまった原因の俺が触れてもいいんだろうか…
そのまま手を額にずらして目を瞑る。
まるで祈りを捧げるように…
…俺のベッドで静かに眠るランの髪を離して頬を撫でる。
「………ラン」
頬を撫でる指を首筋にさげれば、俺がつけた赤い痕が身体中に散らばっている。
昨日の乱れたランを思いだすたびに、胸が傷んだ。
ランを危険に晒した俺は…
もう、ランに逢ってはいけないんじゃないか…
頭やお腹、背中などに貼った湿布や包帯…
頬や胸元の切り傷に身体中の赤黒い痣に、白く綺麗な肌に惨たらしい痕をつけさせた原因は俺なんだと認識させられる。
「………ラン」
ランの姿が涙で滲み、柔らかな唇に触れるだけのキスをする。
俺に寄り沿うように眠るランは、小さく身動ぎすると俺の胸元に顔を埋めた。
愛しい…
愛しい…
何故、俺だけのランではないのか…
何故、俺達はすれ違ってしまったんだろうか…
小さく呼び鈴が鳴る音がして、ランから離れた。
「愛してるよ」
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