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◆side,NANAMI◆
「ふざけんな!」
姜先輩に胸ぐらを掴み壁に押し付けられても、固く口を閉ざして何も弁解もしようとしない銕先輩。
………顕彰と廊下を走っているときに市ヶ谷先輩から連絡がきた。
『蘭がみつかった。警備室に来てくれ』
その言葉に、俺はそこにいけば蘭に逢えるんだと思っていた。
……副会長の話を聞くまでは。
泣く愛結の肩をぐっと力を込めて抱きよせた。
何故こんな事になったんだろうか…
蘭が何をした?
「落ち着きなさい。旺弘」
「何でだよ!何でお前がそんなに冷静なんだよ!お前だって内心、煮え繰り返っている癖に!なあ!葵!」
銕先輩から手を離すことなく副会長に顔をむけた。
姜先輩は、悲痛な瞳で…
…銕先輩の胸ぐらを掴む手が震えていた。
「…落ち着きなさい、旺弘。貴方がここで狼帝を罵っていても、今、苦しんでいるのはランなんですよ。
ランの事を考えるなら、これからどうするかを考えなさい。
……怒りを感じているのは、貴方だけではないんです」
そういった副会長の握り締めた拳から、血が滴り落ちた。
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