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「…葵」
「すいません」
市ヶ谷先輩が副会長の手を取って開かせるまで、副会長自身気づかなかったようだ。
「…話を進めましょう」
深く深呼吸して気持ちを落ち着かせた副会長は、コントロールパネルのボタンを押して画面を切り換えながら話し出す。
「そちらの処理は片付きました?各務」
《葵、僕はちゃんと言ったからね?何も見えない聞こえないからね。
狼帝の持ってきたタイルについていた血は、多分蘭ちゃんので間違いないと思うよ。
だから今は來臥に任せよう?
旺弘。
狼帝を殴ったら、蘭ちゃんに怒られるからね?わかった?》
画面に向けて指を突きつけられた姜先輩は、舌打ちすると渋々手を離した。
ほっと胸を撫で下ろしている各務先輩の後ろから…
くぐもった声や物音が聞こえて、時折、懇願する悲鳴も聞こえるが…
誰もその事には触れない。
唯一、市ヶ谷先輩だけが渋い顔で首をふっているが…
《それと、もう一つの拾いモノ。
こっちは多分…常用しない限り大丈夫だとは思う。
1錠だけだと自白してるからね》
淡々と答える各務先輩が何について言っているのか、わかった。
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