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◆side,AOI◆
扉を開けて姿を表した來臥の髪は、まだ湿っていた。
ズボンだけははいていたけど、首筋にある紅いキスマークや…
爪痕に、
思わず目を反らしてしまった自分が、情けなかった。
私の後ろにいる旺弘と泉、神楽も各務も…何も言わずに口元を引き締めている。
…來臥も、
無言で扉を開けると、踵を返した。
彼が望んでいた事がこんな形でしなければならなかった事も…
なんて皮肉でしょうか。
「…あの野郎…やっぱり」
旺弘の苦虫を潰したような声に、振り返るも…
彼に言葉をかける事も出来ない。
…何故なら
あの時、最初に見つけたのが自分だったら…
何度そう願ったか…
「葵?」
「え?…あ、すいません。行きましょうか」
泉に肩を叩かれて、室内に入った。
…多分、皆
受け入れたくない『現実』に、
重い足を動かして…
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