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「………朝方…寝た…」
…それまで2人が何をしていたか…考えまいとしても、脳裏を掠めてしまう。
「…そうですか。…では、今は落ち着いたんですね」
自分自身にも言い聞かせるように…
ランが呑まされた薬の成分は、常用しない限り多分大丈夫…
暫く付きっきりで様子を見た方がいいけれど、今は…
今は…
握る拳に力をこめて、
深く深く…
気持ちを落ち着けるように…
「…來臥」
「……あ?………!」
「「「…!」」」
「ちょっ…あ、葵!?」
戸惑う各務の声が、椅子が倒れる音と重なる。
來臥は椅子ごと床に倒れて驚いた瞳で見上げるも、私の目とあうと傷ついた瞳をさげて血混じりの唾を床に吐いた。
「………バカですよね、貴方は。
昔も…今も…何も変わらないじゃないですか」
「………」
ジンジン痛む拳から視線を反らして、戸惑う各務達に瞳を向けた時…
小さな物音がした。
皆がはっと顔を上げた先に…
扉に凭れるように踞る…
ランがいた。
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