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「蘭!」
「蘭ちゃん!」
近くにいた旺弘が真っ先に駆けつけてランの身体を抱き締めている。
ランは、
來臥のシャツだけ羽織っていて、
身体中にある『ソレ』に、瞳を反らす事も出来ない。
ランの身体や頭には、痛々しい包帯やガーゼで覆われ…
その合間を縫うように散らばる…
赤い痕
苦しそうな浅く荒い呼吸にまだ火照る身体、涙で潤む瞳は…
扇情的で
彼らでさえ息を呑む程で…
來臥は、ランを見ると目をそらした。
「……蘭、お前…熱…あるんじゃ…」
「……ん」
旺弘がランの額に手を添えると、甘い声を漏らす。
來臥は、その声を聞くと唇を噛み締めていて…
ランは潤む瞳をこっちに向けて、目を細めた。
「…いが………ぁ…あー…ちゃ…?」
ぼんやりと私を見るランは…
髪型や色は違えど、
あの頃のままで…
自然にランの元にいってしゃがみ…
恐る恐る頬に触れた。
「………ラン…」
「……………あー…ちゃ…だ」
力なくそれでもふわりと微笑むランの姿が、
涙でぼやけた。
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