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ランの手が私に向かって差し出されたのをとると、その身体を自分に引き寄せた。
「…んか…ひさ…ぶり…?」
目の悪いランは、遠くを見るとき目を細める癖や…
「……だい…じょ……から」
自分を偽る言葉や…
無理して笑うとこも
小さな身体は、あの頃と変わらずに…
甘い香りも
自分の方が辛いのに、他人を気遣うとこも
人を憎まない優しさも
ランは、
あの頃と何も変わっていなかった。
私が泣いていると思ったランは、ゆっくりと顔をあげると…
ペロって頬を伝った涙をなめて、
「あー…ちゃ……しょ…ぱい…よ?」
掴まれていない手で背中の服を掴んで、私の肩に頭をのせた。
大事に
大事に
ランの周りの状況を知っていたから、
ランに被害がいかないようにしてたのに、
…ランがいなくなったあの日から、ぽっかり空いた隙間を埋めるようにランを強く抱き締めた。
「…あーちゃ……甘えた……ふふ」
「…いいでしょ、やっと逢えたんですから」
ねぇ、ラン。
お願いだから私の前で無理に笑わないで…
もういいんだよ
もう…
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