7206人が本棚に入れています
本棚に追加
「…少し熱がありますね。旺弘、そこの引き出しから体温計を取って下さい」
「え?あ、うん」
ランが辛そうに吐いた吐息に、一度瞳を閉じて気を静めた。
旺弘のいうように確かに熱い身体は、薬の副作用なのか…
それとも、
行為を伴ったからなのか。
脳裏に過る明らかな答えから、目を反らすように旺弘に声をかけて…
ランの身体をだきよせた。
その際、肌けたシャツから覗く白くて華奢な肢体を自分の上着を脱いで隠した。
ランの身体は、
折れそうな程細く…
身体に咲く赤い華を
見せたくなかった。
純粋で綺麗な身体を、來臥に穢された気がして…
…自分のこの感情は、昔から変わる事がない。
いつも來臥に勝つ事が出来ない。
成績も
地位も
…大切な人も
勝手に卑下して勝手に卑屈になる自分が情けなくて…
來臥はそんな自分を見向きもしないのに…
自分の心の拠り所だった可愛いこの子まで…
…この子が來臥のせいで穢され殺されかけたのに
旺弘から体温計を受けとろうと顔をあげた時、
ランは、
私の首に腕を回した。
,
最初のコメントを投稿しよう!