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◆side,NANAMI◆
「………」
室内には重苦しい空気が漂い、
目の前にあるご飯が冷めて固くなっても、それをどうにかする気力もなくて…
愛結と顕彰は、市ヶ谷先輩がきてから一言も口をきかず…
愛結はどうしたらいいのかわからず、時々蘭の自室の方を見ては溜め息をついているし…
顕彰に至っては気難しい顔で黙りこんだまま…
………顕彰の部屋で一睡も出来ずに朝を迎えた。
本意でなくても、蘭が何をしているのか…
わかりたくもない事実を突きつけられて、
愛結も
顕彰も
何故その相手が自分ではないんだろう…
蘭を救う為には仕方ない事だとわかっているのに、
その相手が…
何でよりによって会長なんだろうか…
薄暗い室内は、
時計の音がやけに響き…
ソファーの上でタオルケットをかぶって丸まる愛結の…
啜り泣く声が…
今現在、蘭が会長に抱かれていると思うと…
苦しくて、
煮えたぎるような怒りに、どうにかなりそうで…
なのに…
会長は蘭を抱かなかった。
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