7206人が本棚に入れています
本棚に追加
◆side,NANAMI◆
「………」
「…顕彰、眉間のしわ」
「…チッ」
――…
あの日から…既に2週間が経っていた。
学園はいつものような落ち着きを取り戻している。
…いや、違うか。
『静かになった』が、妥当だろう。
今まで問題を起こしていた生徒に重い処罰が与えられ、
親衛隊による制裁も一切禁じて、理事長の名のもとに処罰を下した。
……会長もあれから学園に来ていないらしい。
毎日のように俺達に状況を伝える役割になってしまった市ヶ谷先輩は、アイツが自分で謹慎を決めた事だ。と、苦笑していた。
…会長の看病のおかげなのか、蘭の怪我は大分よくなったみたいだ。
あの薬に対する後遺症はでなかったと聞いて、安心した。
「……蘭は、会長とよりを戻すのかな…」
「……」
蘭の空席を見ながら呟いた愛結の、今にも消えそうな小さな声なのに…
まるで耳元で叫んだように脳内に響いた。
あの2人を知る誰もが脳裏を掠めて止まない問いに…
顕彰は舌打ちすると乱暴に教室から出ていってしまい…
俺には、その後ろ姿に目を伏せるしか出来なかった。
,
最初のコメントを投稿しよう!