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「…七海は…」
顕彰の後ろ姿を見ながら何かをいいかけて口をつぐんでしまった愛結の頭を撫でると、苦笑が込み上げてきた。
「…本音はお前と同じだ。今すぐにでも、かっさらいに行きたいぐらいだ。
でもな…
蘭が自分で決める事だからな。少なくても、過去を乗り越えないとあの2人は上手くいかないだろう。
それでも…
正直いかないで欲しいと願う俺と、
蘭が望むなら叶えてやりたいとも思う俺もいて…
…どうしたらいいかわからないんだ」
「……七海」
…蘭
お前はどうしたいんだ?
他の人の事なんか考えなくていいから…
自分がどうしたいか
蘭が誰といたいかだけ…
俺達はいつでも
お前の味方だから
何があっても
傍にいるから…
◆side,RANJU◆
サラリ…
頭を撫でる暖かい手の温もりを感じて、意識が浮上する。
その手がスルリと頬を撫でた。
…………だ…れ
「―――……」
誰かの声が聞こえた気がした時、額に触れた柔らかい感触が思考を鈍らす。
目を開けると、
そこには誰もいなかった…
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