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「何もなかったか」
「…來臥以外に何があるのさ」
「俺はいいんだよ」
不貞腐れて嫌味をいえば、当然だろと鼻で笑われました。
…うん。もう來臥には何も言わないもん!
それから、あまり食欲がない俺は來臥に無言の避難を浴びながら軽くお昼をすませて…
だってこれ以上食べたら吐きそうだし…と、訴えたら渋々納得してくれたけど。
來臥と勉強して、テレビを見て、晩御飯を食べて、お風呂に入って…
何をするにも一緒に過ごした。
お風呂では色んな意味でちょっと疲れたけど…
うん。それ以上は俺の口からは言えない!
「…痕…残ったな…綺麗な肌なのに」
俺の胸元の傷を撫でながら、切ない声を漏らす來臥の頬に手を添えた。
哀しみに揺れる金色の瞳を隠すように、俺は來臥の頭を自分の…
來臥が悔やむ胸元に抱き締めて…
「…気にしてないよ。これは、俺が來臥を愛した証だから。
來臥を好きになった事は後悔してない。
寧ろ、感謝してるんだ。
俺を闇から救ってくれたのは、間違いなく來臥だし…
初めて人を愛したのも來臥だから。
だから…
泣かないで」
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