想いの丈は…?

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「…この俺が泣くかよ」 「意地っ張り」 「お前もな」 俺の胸元から顔をあげた來臥の切ない瞳に、 胸が苦しくなって抱き締めた。 痛いくらいにお互いを抱き締めて… 哀しみを… 愛しさを… 愁いを… 想いも… 心に 身体に焼き付けた。 熱い吐息が身体を這う度に… 溢れだす想いに鍵をかけていく。 「好きだ…ずっと…」 「…俺も」 …多分、俺の中から來臥が消える事はないと思う。 そのぐらい大切な存在だったから。 カーテンの隙間から、朝日が漏れ始める頃… 繋いでいた手を離して、來臥の頬に手を添えた。 「…大丈夫だよ。來臥は自分が思っているより…強いから」 「…ラン …蘭珠…」 「っ…狡いよ…今頃…」 「…ずっと…呼びたかった…蘭珠。お前は俺が初めて愛した奴だ。忘れるな」 來臥の唇に触れるだけのキスをした。 「…來臥も 忘れないでね」 笑っていうと、額にキスをされて微笑む。 静かに閉まる扉に 俺達は静かに涙を流した。 ,
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