想いの丈は…?

11/34
前へ
/573ページ
次へ
目の前で蝶が羽ばたき、まるで花とダンスをしているかのように… 風で揺れる花と 舞う蝶を見ていた。 朝方、 來臥の部屋を出てから庭園のベンチに座って、膝を抱えていた。 自分達で出した結論が、間違っていたとは思わない。 それでも… 心を半分亡くしたみたいに虚無感が消える事はなかった。 ひらひらと舞う蝶は、太陽に向かって飛び立ち… 眩しさに瞳を閉じた。 ぽっかり空いた穴を埋めるように這い出てくる闇から、身体を守るように自分を抱き締める。 その闇に被さるように、來臥の最後にみた優しい微笑みが浮かんだ。 …大丈夫。 だって、來臥がちゃんと塗り替えてくれたから。 俺の身体を這うような何本もの手が消えて、 愛しむような來臥の手に変わると、震えは治まった。 …でもね? その暖かい手を離したのは、間違いなく俺で… 俺達は、 別々の道を選んだんだ。 それが來臥の優しさだと気づいていても… 俺は、あの頃と変わらずに膝を抱えている。 ,
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7206人が本棚に入れています
本棚に追加