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なっちゃんの手が俺の背中を優しく撫でてくれて、心地よい微睡みに足が浸かる。
他の誰でもないなっちゃんの腕の中は…
今の俺には一番安心出来た。
◆side,NANAMI◆
…程なく聞こえる規則正しい呼吸に、撫でていた背中から手を離して髪をすいた。
蘭の言う偽りの色だとしても、俺はこの黒い髪が好きだった。
銕先輩に抱き抱えられて帰ってきた蘭の首筋につけられた赤い鬱血の痕を見た時…
会長に対する嫉妬が浮かんだ。
あの薬の事件の時でさえ蘭を抱かなかったというのだから、まさかとは思うが…それでも…
2人で話し合い、2週間程を恋人として最後を過ごしたらしい。
なら…
あり得ない話でもないだろ?
今の蘭は、前に比べて明らかに色気もあり…
周りの生徒達の蘭を見る目が変わって来てる事に、蘭自体気づいてはいない。
…俺なら
俺なら蘭に悲しい想いなどさせない。
「蘭、俺を選べ…」
前髪をあげて蘭の額に口付けて抱き締めた。
「…好きだ。蘭が好きだ」
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