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「………ごめんね?あきちゃんに黙っていて」
「……蘭」
「でも、俺は恨んでるとかじゃないから…そりゃあ、あきちゃんを裏切っていた行為は許せなかったけど、でも…
許してあげて?」
俺がそう言うのをわかっていたあきちゃんは、何も言わずに俺を抱き締めた。
あきちゃんと舞ちゃんが別れた後、あきちゃんは正式に後継者に指名されたと聞いた。
大きな企業を経営する実家で、厳しく育てられたあきちゃんは…
病弱な兄に代わり、その肩に重い枷を背負ってしまった。
派閥や実の兄からの威圧に、押し潰されていないか…それが気掛かりで
でも、あきちゃんは…
「…蘭。俺、卒業したら海外に行く事にした」
あきちゃんは後継者としてのこの後の自分の道を、彼なりに受け入れたみたいで…
その表情はどこか、晴れやかだった。
「…愛人の子に任せるとか糞親父の考えは知らないけど、でも…
どこまで出来るか…
頑張ってみようと思う」
『愛人の子』
俺を虐げた家族や自分を捨てた実の母に、一泡ふかしてやるんだと…
笑っていた。
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