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「日射病になるよ」
学校からでて中庭のベンチに座り、ぼーっと小鳥が餌をつつくのを見ていたら影がさした。
かみちゃんは俺の頭を撫でてから隣に腰を下ろして、胸元のシャツを掴んでパタパタ扇いでいる。
「見回り?」
「うん。夏休みでも定期的にねー。で?何かあったー?」
「何かあった限定?」
「うん」
ふふっと笑ってから太陽の陽射しを遮るように手を翳す。
「泉から連絡あったからさー。旺弘の事聞いたんでしょー?」
どうやらお見通しなようで…
かみちゃんから小鳥に視線をずらすと、小鳥は鳴きながら蒼空へと羽ばたいていった。
「…かみちゃんはどうするの?」
「んー?あぁ、進路?まぁ、旺弘達と同じかなー。御家事情ってやつだから大学に行きながらって感じかなー。神楽もそうかなー」
「…そっか」
今まで進路とか家の事情なんて聞いた事なかったから…
そう考えて…
俺がどれだけ甘えていたのかわかった。
「気にしないでね。僕達はそれを受け入れた上での選択だから。蘭の存在が僕達の癒しにもなっていたの。甘えていたのは僕達の方なんだよ」
優しく肩を抱かれて、歪む視界を閉じた。
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