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開け放たれた窓から、蝉の鳴き声が聞こえる。
テレビもつけていない室内はシン…として、
昔の自分を思い出した。
…俺はどうしたらいいんだろう。
この学園に通う大半の生徒は家業を継ぐ者が多い。
それは未来の自分の道しるべにもなっていて…
違う道に進む者にしても。
俺は、父さんの後継ぎにはなれない。
実家から嫌われているからって訳じゃないけど、自分が父さんみたくなれないのもわかるから…
でも、父さんのお荷物だけにはなりたくなくて…
やりたい事もなく、得意な物も何かに興味さえない。
そう考えて…
無性に寂しくなった。
記憶がない時はこんな事を考える事もなかった訳だけど…
…母さんが入院していた時、俺の手を握って言った事を思い出した。
『貴方が本当にやりたいと思った事をやればいいの。ゆっくり考えて?後悔しないように。もしかしたら蘭ちゃんが尽くしたいって相手が出来るかも知れないじゃない。お母さんみたいにね?』
そう言って笑った母さんは、とても綺麗だった。
…母さんが今生きていたら、何て言うんだろ。
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