7207人が本棚に入れています
本棚に追加
付き合っていた時には本の話なんかしなかったな…
そんな事を思いながら來臥を見上げれば、優しい眼差しが返ってくる。
それにちょっと気恥ずかしい思いをしながら、本の背表紙に瞳を向けた。
「補習は終わったのか」
「あれ、何で知ってるの?」
「生徒の管理は生徒会だからなっていうのは半分。葵が泉からお前の事を聞いてるのを盗み聞きした」
「あ、あーちゃん元気?」
「あぁ、お前が元気に登校してるのを聞いて喜んでたぜ。たまには連絡してやれ」
「…うん」
來臥の口からそんな事を聞くとは思わなかった俺は、俺に背を向けて本を見ている來臥の背中を見つめた。
…あれから來臥は変わったらしく、
行き交うチワワちゃんがセフレを解消されたと嘆いていた。
「…で?何があった?」
「何がって何?」
いきなり何の事を言っているのかわからなくて、首を傾げていたら…
振り向いた來臥に、頭を撫でられた。
「雰囲気が昔みたいだぜ?孤独感が漂ってるっつーか」
………。
孤独感か…
部屋で不意に感じた昔の自分。
皆前を向いているのに、俺だけが進んでいない気がした。
,
最初のコメントを投稿しよう!