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「誰かに依存してもいいんじゃね?」
「!………らぃ…」
頭を撫でていた手に力が加えられ、気づいたら來臥の逞しい胸に抱き締められていた。
「…お前が今、心ん中にいる奴に素直に甘えればいいのに。
どうせ、お前は一人で立たなきゃとか…くだらない事考えてんだろ」
………。
「俺には…
お前に居場所を作ってやる事が出来なかった。
…だから」
お前の幸せだけを祈ってるから…
來臥はそう言うと、頭にキスをして俺を離した。
俺の居場所…
「………蘭?」
來臥がいなくなった後、そのまま本棚に凭れていたらしく…
気づいたら陽も傾いていたようだ。
俺の頭を包みこむように抱き締める逞しい腕に、瞳を閉じた。
「…お前は1人じゃない」
静かに呟く声は、ストン…と俺の心に響いてくる。
それはとても居心地がよくて…
でも…
「…ろう…ちゃ…」
…何故か切なくなった。
どんなに望んでも、いつも俺の掌から落ちる『ソレ』に、
俺は諦めていたのかも知れない。
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